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Oct
東京都内で29日、日中国交正常化50周年を祝う祭典が開かれた。昼の部のレセプションでは、岸田文雄首相と中国の習近平国家主席が交換した祝賀メッセージが代読され、岸田首相は「地域と世界の平和と繁栄のため、建設的かつ安定的な日中関係の構築を進めていきたい」と呼びかけた。習主席は「時代の潮流に従い、新しい時代の要求にふさわしい中日関係を構築するようけん引していきたい」とし、ともに関係深化に前向きな姿勢を強調した。
祭典は経団連を中心に設立した「日中国交正常化50周年交流促進実行委員会」が主催。日本の外務省、日中友好7団体、中日友好協会、在日本中国大使館などが後援し、協賛には日中の企業50社も名を連ねた。
記念レセプションには関係者ら850人が出席。林芳正外相や福田康夫元首相、自民党の二階俊博元幹事長、孔鉉佑駐日中国大使らが来賓として参加し、会場で両首脳のメッセージが代読された。
岸田首相は「日中関係はさまざまな可能性とともに、数多くの課題や懸案にも直面している」と指摘。国交正常化を成し遂げた原点を思い直し、ともに新たな未来を切り開いていくことが重要だとした。
習主席は、国交正常化を実現した過去の指導者の功績を振り返り「両国関係の新たな1ページを切り開いた」と評価。今後も関係の発展を重視するとの考えを示した。
■林外相「率直な対話を」
来賓のあいさつでは、林外相が「日中両国は地域・国際社会の平和と繁栄にとって、ともに重要な責任を有する大国だ」とし、率直な対話を積み重ねつつ、ともに進んでいく必要があるとコメントした。福田元首相は、国交正常化以降の中国の発展や変化に触れた上で、今後の日中関係のあり方について言及。平和と安定のために協力し合うべきだとし、「その関係をさらに強化していくことが求められる」と述べた。
孔駐日中国大使は、岸田首相と習主席が交換した祝賀メッセージから、両国関係改善・発展への両国指導者の強い意志が伝わってくると指摘。「次の50年はどこに向かうべきか、互いに真剣に答えなければならない問題だ」などと話した。
■李首相「意見の相違を適切に制御」
日本の外務省は29日、岸田首相が中国の李克強首相とも祝賀メッセージを送り合ったと発表した。
李首相は国交正常化後の日中関係について、「双方の何世代にもわたる方々の継続的努力のもと、両国関係は全体として安定した発展を保ち、各分野での交流と協力が実り豊かな成果を上げた」などと評価。
今後の両国関係の前進に向けては、両国が「各分野での交流と協力を深化させ、矛盾と意見の相違を適切にコントロールする」必要があるとの見方を示した。
■協力深化は新たな局面に、識者
日中の経済関係は国交正常化後の50年で飛躍的に深まった。日中の2021年の貿易額は約3,700億米ドル(約53兆円)で、1972年の11億米ドルから300倍以上に増加。日本企業は1978年ごろから中国市場への進出が始まり、現在約3万社が中国で事業を展開している。
第一財経日報(電子版)によると、上海対外経貿大学日本経済センターの陳子雷主任は、「今後も日中の経済関係はさらに深まる余地がある」との考え。特に互いの投資モデルが多様化していることに期待感を示した。
陳氏は、日本企業の対中投資はこれまで主に生産拠点の設置だったが、現在はサービス業の投資も活発化してきたと指摘。中国の近年の旺盛な消費に着目した投資が増えているとの見方で、物流、卸売り、小売りなどの分野の投資が伸びていると説明した。
中国企業の対日投資はこれまで、レジャー・旅行などの従来型サービス業や製造業が目立っていたと指摘。ただ、最近はプラットフォーム企業などの新興企業が日本市場を深耕しようとしていると分析した。